クレジットカードと割賦販売法とは?
金融業界では、各系統によって法律の制限を受けており、消費者金融や流通系、信販系などの金融会社は貸金業法、銀行系金融会社は銀行法による制限を受けます。そして、金融会社とは別にクレジットカード単独でも法律の制限を受けており、その法律が割賦販売法と呼ばれている法律になります。
もっとも、クレジットカードの利用に関する法律が無ければ、各金融会社独自の規約が適用される事になると思われるため、これではクレジットカードというツールの統一性が失われてしまいますので、法律があるのは良い事だと思います。
そして、この割賦販売法にはクレジットカード利用における利用者とクレジットカード会社との間で健全な取引が行われるように各ルールが定められているため、カード会社ではクレジットカード業務に関してはこの割賦販売法に沿って運営を行う必要があります。
さらに言えば、この割賦販売法の中には顧客のクレジットカード利用限度額の設定についても定めがあるため、この割賦販売法を上回る利用限度額の設定は出来ないのです。そのため、私たちがクレジットカードを利用するためには、この割賦販売法にも十分注意する必要があります。
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割賦販売法の必要性について
この割賦販売法では、顧客のカード利用限度額を支払可能見込額を参考に算出するように定められているため、各クレジットカード会社では顧客の現在の利用状況をこの支払可能見込額を算出するための計算式を用いて利用限度額を決める必要があります。
そして、各クレジットカード会社では割賦販売法による支払可能見込額(全カード会社共通)を元に利用限度額を決めているため、顧客の債務超過を防ぐ役割を果たしているのです。
これが、割賦販売法がなく各金融会社独自の指標によって利用限度額が算出されていたら、顧客のカード使い過ぎを防ぐことが難しくなる=顧客が今後債務超過になる可能性があるため、クレジットカードにおいて割賦販売法はとても重要な役割を果たしているのです。
支払可能見込額の算出方法について
現在は、割賦販売法の改正によってクレジットカードのショッピング枠利用の分割払いやリボルビング払い、ボーナス払いについては、支払可能見込額の90%を超えてはならないと定められました。そのため、各クレジットカード会社では審査の際に申込者の現在の利用状況を調査した上でカード利用可能限度額の設定を行っています。
そして、この支払可能見込額を算出するための材料ですが、顧客の年収や1年間の生活費、さらには現在の一括払いを除いた債務金額となり、これらの金額=年間請求予定額によって決められます。
年収について
審査では、基本的に年収は自己申告となっており、年収を証明するために必要な書類の提出義務はありません。ただ、カードキャッシング枠の申請の際に一定の金額以上になると年収を証明するための書類の提出が求められる可能性はあります。
この理由ですが、クレジットカードに付随するキャッシング枠は貸金業法による総量規制の影響を受けるためであり、この総量規制では年収の1/3を超える借入は制限される事になります。そのため、クレジットカードでキャッシングを利用する際には年収を証明するための書類が必要になるケースもあります。
キャッシング枠の総量規制は重要です
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生活維持費について
この生活維持費とは、各世帯の1年間における生活に必要な費用を算出したものになります。そして、これは各世帯ごとになるため、既婚者と独身とではその金額は異なり、また持家や賃貸、さらには持ち家の場合には住宅ローンの有無についても異なってきます。
それでは、下記に生活維持費の算定方法を記載しておきます。
各世帯(生計を共にしている) | 人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 |
住宅費用(住宅ローンなど) | なし | 90万円 | 136万円 | 169万円 | 200万円 |
あり | 116万円 | 177万円 | 209万円 | 240万円 |
※生活維持費は、法令に定める「生活維持費の算定方法」により算定した額になります。
※生活維持費は地域によって異なります。
[char no=”3″ char=”学くん”]支払可能見込額の要素の1つ、生活維持費は世帯人数や住宅ローンの有無によってその金額が異なっています。[/char]
年間請求予定額について
この年間請求予定額とは、カード利用者が1年間で支払う予定の債務総額になりますが、この中には一括払いでの支払いは除外され、分割払いやリボルビング払い、ボーナス払いのみが対象になります。
そして、この年間請求予定額は個人信用情報機関の信用情報に登録されている情報を元に算出されるため、自社はもちろんですが、同業他社での債務(住宅ローンやオートローンなども含む)総額も対象になります。
例えば、クレジットカードのリボルビング払いを利用しており、毎月の最低支払金額が5万円の場合には、5万円×12回=60万円が、毎月の支払い金額が10万円の場合には10万円×12回=120万円が年間請求予定額に含まれる事になるのです。
支払可能見込額の計算例
この支払可能見込額の計算例ですが、例えばクレジットカードを発行する顧客の自己申告年収が350万円、生計を同一にしている世帯人数が4人、住宅費用の支払いがあり個人信用情報機関の信用情報を調査した結果、年間請求予定額が60万円の場合だと、支払可能見込額は下記の通りになります。
支払可能見込額=年収350万円-生活維持費240万円-年間請求予定額60万円=50万円
分割・リボ払枠=支払可能見込額50万円×90%=45万円
支払可能見込額調査を行なう時期はこちら
クレジットカード会社が支払可能見込額調査を行う時期ですが、これは途上与信のように不定期に行われている訳では無く、ある一定の時期に行われています。そして、この支払可能見込額調査を行う時期は下記の通りとなっています。
●クレジットカードの新規発行審査
●クレジットカードの有効期限による更新審査
●分割払いやリボルビング払い枠の増額審査
たた、クレジットカードの有効期限による更新審査の際には、分割払いやリボルビング払いの利用残高の合算額が5万円未満の場合には行われないケースが多くなっているようです。
いずれにしても、このような時期にはカード会社による支払可能見込額調査が行われるため、クレジットカード利用限度額の減額に遭わないためには常日頃からカードの計画的な利用を心掛ける必要があります。
まとめ
クレジットカードでは、定期・不定期で割賦販売法によって現在の支払い状況が調査され、その結果を元に利用限度額が決められています。そのため、日頃からクレジットカードの利用金額または現在の利用総額については十分注意する必要があります。
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